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勉強した事を記憶する最も効果的な方法【和訳】

海外の、生活にまつわるTipsを紹介しているYoutuber、Thomas Frank氏の動画

The Most Powerful Way to Remember What You Studyの和訳、解説記事です。


The Most Powerful Way to Remember What You Study

分散学習

この動画のメインキーワードは、Spacing Effect(間隔効果)です。簡潔に言えば徐々に間隔を空けて学習する(Spaced Repetition)ことで効率的に記憶に定着するというもので、例えば、「学習→1日のインターバル→学習→5日のインターバル...」という学習を推奨しています。

そしてその効果についての科学的根拠、またそれを実際に学習に取り入れる方法について動画の中で述べていきます。

間隔効果にまつわる研究

The Owner's Manual for The Brain'の著者Pierce J. Howardは本書の中でこう述べています。

The Owner's Manual for the Brain (4th Edition): The Ultimate Guide to Peak Mental Performance at All Ages

分析や記憶といった作業は、新たなニューラルの結合を強固にするために、間隔を空けて行われるべきである。間隔が不十分だと、新たな記憶が古い記憶を脳から追い出してしまう。

また、1800年代からこの事は知られていました。

Herman Ebbinghausは研究の中で、数多くの意味のない音節を自ら学習し、その記憶の経過を観察しました。そこで彼はかの有名な「エピングハウスの忘却曲線」を完成させました。

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しかしこの研究の中で彼は「間隔効果」が記憶の定着に有効だということも証明していました。

彼は、12の意味を持たない音節が書かれたリストを完全に記憶するのに一日目の68回の学習と翌日の7回の学習、計75回の学習を要しました。しかし、間隔効果を利用して三日かけて前回と同じような情報量をもつリストを暗記したところ、なんと38回の学習で完璧に記憶したのです。

つまり、短い期間で学習するより、ある程度の間隔を空けたほうが、実際の学習時間は圧倒的に少ないということです。

なぜ効果的なのか?

Benedict Careyは著書How We Learnの中で、記憶の定着について述べています。

How We Learn: Throw out the rule book and unlock your brain's potential

記憶の衰弱は、ある知識を再び学習した時に記憶として定着させるために起こるべきものなのである。ある知識は、少しだけ忘れられることによってはじめて再学習の効果が現れるのだ。

かなりわかりにくい表現になってしまいましたので、詳細に説明します。

人間の脳は日々獲得する有象無象の記憶を全て保存することはできません。よって新たな記憶を獲得するために「忘却」という機能がついているのですが、一度忘却しかけたものをもう一度学習すると、脳はその記憶の重要度を上げ忘れにくくしてくれるということです。

つまり、忘却というプロセスを経ずに何度も短い期間で知識をインプットしても、脳はその知識の重要度を上げず、他の有象無象と一緒に忘却されてしまいます。完全に忘れてしまった知識も同じで、再学習したとしても脳は「新情報」として優先度レベルを他と同じに設定します。

唯一、少し忘れた知識をもう一度インプットするという行為は例外で、脳はその知識が重要だということを認識し、忘れないように努めるようになります。

どう学習に組み込むか

  1. Leitner System

    このシステムは紙の暗記カードを使っている人に効果的です。紙の暗記カードを5つのBOXにわけるやり方です。

    それぞれにBOX1~BOX5と番号を振ります。BOX1のカードは毎日勉強し、BOX2は2日毎に、BOX3は5日毎に...という風に間隔を変えて学習します。学習したカードは次のBOXに入れ、間違えたカードはBOX1戻します。

    正解したカードは次のBOXに入れられてより長い間隔で学習させ、不正解のカードはまた初めからやり直すという仕組みです。シンプルながら効果的です。

  2. Anki

    アルゴリズムに則って、最適化された間隔での学習を助けてくれるのが、このAnkiというアプリケーションです。Windows,Mac,Androidは無料で利用でき、課金が必要ですがiOSにも対応しています。

    Ankiは登録した暗記カードを、その正答率などに応じて自動的に間隔を空けて再出題してくれます。暗記カードの登録もシンプルで、さらにテキストだけでなく写真も登録できるので、例えば世界地図の写真を登録して「サウジアラビアはどこ?」と質問するようなカードも作ることができます。

  3. TinyCards

    TinyCardsはiPhoneのみで利用できるアプリです(Androidバージョンもすぐに出るとのこと)。Ankiに比べるとシンプルで良いデザインをしており、カードの登録もより手早くできるのが利点です。スマホ中心に手軽にしたい人にとってはこちらの方がおすすめです。

  4. その他
    詳しく説明はされませんでしたが、Flashcards DeluxMemriseSuperMemoMnemosyneEideticQuizletなどのアプリケーションが動画内では言及されていました。

まとめ

記憶の効率を高めるには間隔を空ける、まま言われる事ではありますが、そのメカニズムはやはり興味深かったです。やっぱ人間の脳ってよくできてるんですねぇ。

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